2017-03-08 無くしたもの 詩 窮屈な靴を脱ぎ捨てて 窮屈な服も脱ぎ捨てて ただこの肉体は脱ぎ捨てられない 感性が鈍り どうしようもなく嫌悪感を抱くことが無くなった 耐性ができたのか 鈍感力か 世間と自分の間に横たわる どうしようもない違和感も 取り立てて騒ぎ立てるほどのことはない 無くしたものは時間だけではない 多くのものを失ったと思い知らされる 手に入れたものは何だったのか 全てはまぼろし とりとめもない
2017-03-04 その先へ 詩 諦めていたこと 投げやりにしていたこと 先延ばしにしていたこと ひとつづづ潰していく 過ぎてしまった時間は取り戻せない 疎遠になった人たちの仲は取り戻せない どこまでも 自分の可能性を 見切ったことで 肩の荷が降りたのか 自意識を大事に守り育てても 世界は広がらない 固く握りしめた手を開く 明るい光とともに 足を踏み出していこう
2017-03-01 春の雨 詩 雪を溶かす雨 雪などどこにもないけれど 確かに雨は雪を溶かすだろう 雨の音は春を告げる 乾いた大地に沁み渡る 長い冬と別れを告げる準備はできたか それともまだ長い眠りを貪るか 雨の音は語りかける 春はそこまで来ていると
2017-02-26 砂時計 詩 箱で買ったじゃがいも 2月も末となり芽がたくさん出る 箱で買った伊予柑 乾燥し果実は瑞々しさを失った 長い冬を経るうちに これが無くなるころ冬が終わる 砂時計なようなもの もはや残りも少なくなった
2017-02-22 nobody 詩 何者かになりたかった どこまで行っても 自分から抜け出せることはなく アクセルを踏む勇気を持たず 後ずさりをする 平凡に生きることすら 難しい これでいいのか 人生というステージに立てたのか 立てなかったのか 闘いは始まったのか 始めないまま終わったのか 途方に暮れて日が暮れる
2017-02-21 輝き 詩 一人の若い女性が 彗星のように輝き 暗闇へと消えていった 彼女の輝きは 人々の記憶に残る 遺された者たちは 短い彼女の生涯に涙する 別れはいつだってあるし 予期せぬ出来事もいつだってある ああそれにしても 亡くしてわかる 生の輝き もう一度会いたい 叶わぬ夢 ああ 本当にあなたは輝いていた
2017-02-21 望み 詩 日々の仕事 生活に追われ 頭の中が空っぽになることを恐れる。 やりたいこと買いたいこと 何かないかと思い浮かべる。 本当にやりたいことはわかっている それが簡単にできないことも。 言い訳ばかりで時間切れ 本当にそれを望んでいたのだろうか。
2017-02-19 めまい 詩 通り過ぎるまち 通り過ぎるヒト 通り過ぎる季節 置き去りにするのか されるのか 空っぽな心に 隙間風が吹く様だ 手応えなく 記憶を探ってみたけれど なんてあやふやな 輪郭を掴むことはできず どうやって 大地に立てばいいんだと めまいがするばかり