無くしたもの

窮屈な靴を脱ぎ捨てて

窮屈な服も脱ぎ捨てて

ただこの肉体は脱ぎ捨てられない

 

感性が鈍り

どうしようもなく嫌悪感を抱くことが無くなった

耐性ができたのか

鈍感力か

世間と自分の間に横たわる

どうしようもない違和感も

取り立てて騒ぎ立てるほどのことはない

 

無くしたものは時間だけではない

多くのものを失ったと思い知らされる

 

手に入れたものは何だったのか

全てはまぼろし

とりとめもない

音と静寂

賑やかな音の連なりは

隙間を埋めるように

静寂を嫌い

空間を埋め尽くす

しかし音が途切れた

僅かな時間に

多くの物語の時間が流れる

 

その先へ

諦めていたこと

投げやりにしていたこと

先延ばしにしていたこと

ひとつづづ潰していく

 

過ぎてしまった時間は取り戻せない

疎遠になった人たちの仲は取り戻せない

 

どこまでも

自分の可能性を

見切ったことで

肩の荷が降りたのか

 

自意識を大事に守り育てても

世界は広がらない

 

固く握りしめた手を開く

 

明るい光とともに

足を踏み出していこう

 

 

春の雨

雪を溶かす雨

雪などどこにもないけれど

確かに雨は雪を溶かすだろう

雨の音は春を告げる

乾いた大地に沁み渡る

長い冬と別れを告げる準備はできたか

それともまだ長い眠りを貪るか

雨の音は語りかける

春はそこまで来ていると

 

砂時計

箱で買ったじゃがいも

2月も末となり芽がたくさん出る

箱で買った伊予柑

乾燥し果実は瑞々しさを失った

長い冬を経るうちに

これが無くなるころ冬が終わる

砂時計なようなもの

もはや残りも少なくなった

nobody

何者かになりたかった

どこまで行っても

自分から抜け出せることはなく

アクセルを踏む勇気を持たず

後ずさりをする

平凡に生きることすら

難しい

これでいいのか

人生というステージに立てたのか

立てなかったのか

闘いは始まったのか

始めないまま終わったのか

途方に暮れて日が暮れる

 

輝き

一人の若い女性が

彗星のように輝き

暗闇へと消えていった

 

彼女の輝きは

人々の記憶に残る

 

遺された者たちは

短い彼女の生涯に涙する

 

別れはいつだってあるし

予期せぬ出来事もいつだってある

 

ああそれにしても

亡くしてわかる

生の輝き

もう一度会いたい

叶わぬ夢

 

ああ

本当にあなたは輝いていた

 

 

 

 

望み

日々の仕事 生活に追われ

頭の中が空っぽになることを恐れる。

やりたいこと買いたいこと

何かないかと思い浮かべる。

本当にやりたいことはわかっている

それが簡単にできないことも。

言い訳ばかりで時間切れ

本当にそれを望んでいたのだろうか。

 

めまい

通り過ぎるまち

通り過ぎるヒト

通り過ぎる季節

 

置き去りにするのか

されるのか

 

空っぽな心に

隙間風が吹く様だ

 

手応えなく

記憶を探ってみたけれど

なんてあやふやな

輪郭を掴むことはできず

どうやって

大地に立てばいいんだと

めまいがするばかり

 

 

いつか

大事なものは手放してはいけない

そしてまた

手放したものが

忘れたころに自分のもとに戻ってくる

どうかそれに

気づきますように