午後二時のまどろみ

老いた猫のような

午後のまどろみ

平和そうな猫たちも

縄張り争いで

決死の闘いがあることを

知っている

飼い猫は闘いに敗れ

失血死してしまった

平和そうな午後

少しづつ崩れ

水面下で

どれほどの血が流れ

どれほどの冷酷

無関心に

世間は

覆い尽くされていることか

 

雨上がり

湿気混じりの風

蝉が生命の限りを尽くし鳴く

午後二時のまどろみ

 

都会暮らし

都会暮らしに疲れ

日々の息抜きは

通勤帰りの

夜道の歩き

 

辛うじて

空を見上げて

息をついている

 

背伸びばかりは

していられない

 

シンプルに

生きたい

 

要らないものを

欲しがらないように

 

大事なものを

大事にし

見過ごさないように

心を殺さずに生きていけたらいいのに

いつの間にか消えてしまった夢

 

鈍感さに埋もれる関係を嫌い

一人ぼっちになることを

当たり前に思い

そのくせ孤独を持て余している

 

人と係わらぬことにより

独りよがりになることを恐れている

 

都会の喧騒を嫌い

静寂を愛す

ただそれだけなのに

のんびりと寛ぐことができない

 

 

何が何だかわからぬうちに

もはや夕暮れ

何も成し遂げ得ぬことを

恐れている

 

闇に走り出したとて

何になるというのか

できるのは

ただ深い息をすることだけ

今ここに

百年たっても、言葉は残る

映像も残るはず

ただし肉体は残らない

 

千年たっても、ある言葉は残る

映像も残るかもしれない

墓はすでに朽ち果てているだろう

 

一万年たって、残る言葉はあるか

原発は残っているか

まだ戦争をしているか

宇宙に住むようになったか

まだ人類は文明を持っているか

 

今はもういない祖先と

まだ見ぬ子孫へ

 

私は今ここにいる

二千十七年を生きている

 

本音

あれはもう悪意のあるつぶやきだったのか
心の声を幻聴として聴いたのかはわからない
どちらにしても相手は調子づいてしゃべっていた
悪意も親切心も感じながら傷ついていた
心をオブラートに包まずのやり取り
傷つかないふりをして
そのくせ臆病になり人を遠ざけることの繰り返し
本音を言わず発声することの味気なさ
ただ曖昧に笑うだけの日々
礼儀に救われることもあるが
生きている実感は薄い