こんな夜は

死んでしまった人に、もうそれ以上裏切られることもなく感情を乱されることもなく、ただただ懐かしい。短い期間でも濃密な時間を過ごした。そもそも短いとか長いとか物差しは何なのか。続くと思った関係性が、一方的に断ち切られ、短いと思う。実質的な長さ…

曼珠沙華咲き ススキの穂も開く あれだけ強烈だった 日射しが弱弱しく あれだけカラカラだった 空もしょっちゅう雨がぱらつく 収穫の秋だというのに 果樹園も畑も持たない我は 何も収穫するものはない でもなお言うまでもなく 天の恵みは雨と日照 多くの果実…

永遠というものに 手を差し伸べて それはどうにも ならないことを 知った今は 流されていくまま 刹那を積み上げて 残されたものは 全て幻影 時と共に 形は崩れ 無関係となり 去りゆくものになる

まるで空には 絵に描いたような雲が 浮かんでいるんだけど 現実って何だろうと 思わざるを得ない 夢でもないのに 夢を見ている気分だ 酔ってもないのに 酔っている気分だ

長いトンネル

長いトンネルは いつかは通り過ぎるのだろう 自分が自分のことを 信じられなくなって でも長いトンネルは いつかは通り過ぎる日が 来ることだけは 確信を持ってて それだけを頼りに 歩いている

これ以上

詰め込みすぎて もうこれ以上食べれません これ以上見れません これ以上歩けません もうこれ以上 これ以上

王様は裸だ

梅雨明けて 豪雨 酷暑 台風 異常気象のオンパレード 余りに多くの不穏な気候人間界も 従来の常識を疑うような 事件が相次ぐ 冷笑的態度は 終わりにして 旗幟を鮮明にしたい 与えられるだけでは 済まされない 歴史のまっただ中に 立たされている 黙っているだ…

風景

朝の通勤路 雑草は繁茂し 盛り返した夏の じっとりとした風に揺れる 電車に遅れないように いつもの早歩き 長い階段を上り 駅舎は高架の上 淀んだ空気の中 心臓はドキドキ 夏バテというのか 夏の疲れはピーク 帰り道 定時に帰っても 日に日に日暮れは早まる …

生きている

あわてるな。 きみが生きている というだけで それは 過去から 連綿と 続いた 生命の リレーの 証。 それを幸運と 呼ばず 何と呼ぼう。

創作

詩作については構えて書くのではなく一瞬で降りてくるものを書き下ろす感じで書いている。いつか小説を書きたいと思いながら、未だに一行すら書いていない。たまに一瞬に構想というべきものが降りてくるが、すぐに飛び去り雲散霧消する。どうしてもこれが書…

暑い夏の昼下がり

言いたいことあったっけ 食べたいものあったっけ 歌いたいことあったっけ 行きたいところあったっけ 買いたいものあったっけ 外出から帰り 汗だくとなり 危うく熱中症 いろんなことは思考停止 この夏を乗り切ることだけを 生き延びることだけを 考えていた …

転々

次々と捨ててきた 捨てたつもりで 捨てられていたのでは 無かったか あの土地も あの場所も 居場所はどこにある どこでも無いどこかを 探し続けて もはや行く場所なんか無い

悠然と そびえ立つ山々を 見渡した 遠い夏の日々あの日には 戻れず 深い断裂を 思う失ったものは 時間なのか 心なのか遠い 遠い こんなにも

川は今日も流れる この流れはいつか降った雨 満々とした急流は通り過ぎた台風 何も言わず海を目指す 私は川に問いかける言葉を持たず 川の言葉を探ろうとしていた 黙って川辺を今日もまた歩いた

仕事帰り 電車から降り 西日を見つめる

今を見てても 心はすでにその先の 滅びを見ている 遠いところを見たからといって 今この道も歩いていかねばならぬのだ 今そのものを生き尽くす それが難しい 心は今を見 過去を見 未来を見ている

それ

足りない 足りない 埋め合わそうにも それはひどく 手が届かないどころか 遠いところにある いつまで経っても それはひどく遠いどころか ますます遠ざかる もはやそのことが 安心な気さえしている 私はそれを静かな場所で 思っていた

信号

渡る前に信号が点滅 待つのか 慌てて渡るのか 気まぐれに ある時は走り ある時は悠然と見送る 心境の違いがよくわからない 慌てて渡っても得はない ただ待ちぼうけを嫌っているだけだ どこまで行っても この体からは逃げられない ならばどこにいても 何をし…

うだるような暑さだ こんな日は何をしてもダメだ ただ生き延びることを願った気楽に 気楽に 頑張らない 頑張らない頑張ろうと思ったとしたら 正気を失っている熱中症になりかけた時の 気持ち悪さを思いだした 夜にも暑さは続いてる この熱を冬に分けたい 本…

生きろ

自分の人生を生きろ。 闘え。 疲れたらゆっくり休め。 辛い時は泣け。 なるべく人に優しい声をかけろ。 不正、差別に同調するな。 無人の荒野を歩むことを怖れるな。 負けを認める勇気を持て。 よく人の声に耳を傾けろ。 人を羨むな。 よく考えろ。生きろ。 …

僕と君

ぬるい風が吹いている 今日は雨でも 日照りでも無かった 蒸し暑さはエアコンの 冷気で打ち消された 僕は君でなく 君は僕でない お互いに持たないものを 羨んでも仕方がない 自分の持つ物のありがたさを わかっているだろうか きっとわからないだろう わかり…

届かない

届かない 届かない 届くわけもない 届けようとしていないから 届けられない理由は 届けるほどの 届ける言葉がないから 届かない 届かない 届かないままで 届いた気がするわけがない 届かない手紙を待ったって 届かないよいつまでも

東京

長年住んだ東京 あちこち働いた あまり観光はしていない 働く場所だから 人混みは嫌い イベントがあると 目的地と自宅と 最短距離で最短時間で 帰ってしまう 山の上から見た 東京は 晴れているのに 曇ったガスで 覆われている 嫌いと言いながら 住み続けてい…

六月

虫の鳴き声を聞いた 早い台風が発生 通勤に半袖服で行く 季節は動いている 今年もあっという間に半年、 まだ始まったばかり でも終わりを意識している

過去

私は知ってしまった 全ては手遅れなのだと いつの間にタイムアウトに なってしまったのだろう もはや打つ手には意味がない 過去には戻れない 未来を信じるには もはや過去をきっぱり 封印するのだと言いながら 老いの自画像を見定められなく居る

夢想

私は夢想する いつか この地を飛躍して 全てがつながり 大きなものへと 小さな自己を 乗り越える日を それは 若き日の空想とは違い なにがしかのあきらめと 生の熟成とも言える何物かを 含んでいる きっと その日はやってくる 旅立ちの日から それを ずっと …

夕焼け

雨上がりの夕焼け 空中のちりを洗い流し 鮮やかに映える 眼を輝かせて人々は 立ち止まり写真を撮る 吾もその一人 空と地上の境目は まるで この世とあの世の 架け橋

残酷

全てがわかっているとしたら 全てが予定通りだとしたら 全てが通り過ぎるだけのことだとしたら 全てが誰にも知られないままに 終わってしまうだけのことだとしたら それは何と残酷 多くの悩みも いずれは終わる それは救いとともに 何と残酷

十二時

深夜 いきなり 掛け時計の針が くるくる回る そう 電波時計の時間合わせ だが針は 意志を持ったように 十二時でピタリと止まり その先に進まないのだった

馴染みの場所へ

どうしても 生きている内に 行けそうにない 行けないことは 無いはずだが そのためには 寿命を縮めるほどの 大変さを感じる 時間も 空間も 気にせず 行けたら 素敵なことだが 不吉にも 時空を超えるとは 生死を超える気がしてしまうんだ 自分がどうであれ そ…