はるか遠く

失われた感覚 もはや取り戻せない感情 記憶の中にだけある あれらは本当にこの身に 起こったことなのか 何もかもが幻でしか 無かったような 取り戻したい しかし 過ぎ去った時代は 決してここには どこにもない どうしようもなく はるかに遠い いつの間にか …

ある感情

どうにもならない 痛みを 怒りを 惨めさを 無感覚に 押し込めても それはいつか 出口を求めて 溢れだす混乱した 感情を整理しようにも 狡さと 弱さと 諦めで 確かさを得る ことができないままだ

日の光

日々 日の光強くなり 窓際に座り 太陽の温もりを身に受ける 今日は節分 日を数えて 春の訪れを待つ

昨日、今日そして明日

今はまだ多くを語れず。 言葉に力強さを持たず。 自分自身を納得させるに至らず。 いつまで待てばいいのか。 混沌としたまま齢を重ね、 永遠の生がないのなら、 もはやあるがままを受け入れるだけだ。 その先は無い。

自由

風に戯れる 自由でありたい しがらみに囚われることなく 数多い制約の中で もがき続け 自由を叫びながら 単に逃避しているだけだと 自分に愛想を尽かす 叶わぬことを 追い続ける辛さに 耐えきれず 諦めてしまったのか やがて自由を ことさら意識することなく…

記憶

封じ込められた過去の記憶の断片。 いまさら取り出してみても 霧のように形にならない。 かといって現在の出来事が 明確な輪郭を持つかと言えば ただ通り過ぎるだけ。 なぜ。 わたしはまだわたしという ものがたりを語っていない。

見送り

夜行バス 見送る人の 暖かさターミナル駅を出た後、 夜行バスが途中駅に停まった。 たくさんの人が待っている。 乗車する人は少ない。 ほとんどが正月に帰省した 家族の見送りのようだ。 両手を降っている。 一月四日の夜のこと。

新年

夜が明け 日が上り 日が沈み 日が暮れた いつもと変わらぬ一日 一年が始まった

静かな夜に 涙を流した 愛も憎しみも 不安も喜びも 若さも老いも 固定することはできず 古びていく 少しだけ 寿命の長い杉の大木が 何も言わずに 立ち続けている

やり残したこと

いつも 今日は終わってしまうのに やり残したことはないか 今年は終わってしまうのに やり残したことはないか 何も無く無事終わった ふとんの中では ただ安堵のため息卑怯にも全身全霊には 成れなかった自分 格好よく有りたいという 自意識さえ保てなかった …

一年

もうすぐ今年は終わり 始まりも 終わりも 人智の範囲内 だけど とにかく 一年は終わる 太陽の周りを 地球は 一周しました

自分に問いかける 何を求める どう生きる 答えがなく 為す術がない時 固まった心を解放するために 外を出歩いて 自然に問いかける 簡単に 答えなどないが 心が暖かくなることはある 遠出はできない ただ川を見ながら 歩いているだけ 遠くには山が見える 幾度…

心もよう

晴れない 十二月になってめっきり 晴れ間がない 今日も昼から晴れると言ったのに たまにチラチラ日が射すだけで もう日は傾いてきた 心は晴れず 絶対必要な用もなく 家にこもるばかり この頃忘れていた 頭痛も始まった 明日の予報は 朝から晴れ 明日こそ

ステージ

ステージに立つ あなたの孤独を思った 誰も助けられない 祈るように見守っている その孤独こそが あなたの守っていきたいもの ステージは進み やがて最後の曲となり 静かにあなたは曲名を告げた それぞれがそれぞれの 人生を思った あなたの人生と 重なり合う…

公園

雨上がりの公園に おばあさんが一人 晴れた空 公園には ただ一人おばあさん 子どもはいない 公園はまだ新しく 昔は別の施設だった 公園を作った人 歴史までは作れない きれいに整った公園に 私の空っぽの心が映った

星にロマンスは無い 勝手に 心を投影しているだけだ 今日は涙を流す そして 明日には忘れている仲良く並んで見える星座 唐突に流れる流星 人智を超えるものの 存在を示している その畏れを ロマンスというのか

距離

私とあなたの 人生が同期する その距離は 遠くて近い 近くて遠い 手が届きそうで届かない 傍観しているからこそ 近くにいられる あなたが 泣いたり 笑ったりして 私も泣きそうになったり 笑ったりする 唯一 同時代に 息をしていること だけは確かだ

この道

気の利いたことを言うために 書くんじゃない。 どうしても言わざるを得ない 言葉が滲み出してくる。 謙遜も自慢も不要。 肩の力を抜け。 人生は短い。 言葉の力を信じて 我が道を歩め。

焦げ茶色

暖冬で 温いままの大気 木枯らしも吹かないビルから見渡す けやきの木々は まるでくすぶる火のように 焦げ茶色

追憶

すがるようにして 聴いた曲も むさぼるようにして 読んだ本も 通い慣れた あの場所も どんどん色あせて 掴んだ掌の中から すり抜ける 過去 現在 未来

眠い

眠りに引き込まれていく 夜の名残がもったいない 眠くても眠られない 救いがたい夜を思えば 眠くて眠くてしょうがない夜は 何とありがたいことか おやすみなさい

本日快晴

面倒くさくて 駅まで自転車で 行く気力も無いくせに 天気がいいというだけで その事実は覆される

電車

満員電車が 特急停車駅に停まり おびただしい人が 吐き出される どこにいたんだ これだけの人が

言葉 コトバ ことば

他を拒絶するための言葉がある ただ己を慰めるためだけの言葉がある 沈黙を保つための言葉がある あなたからわたしへ わたしからあなたへ 伝わらない言葉に意味はない 広がらない言葉に意味はない

夕暮れ

秋の夕暮れ もはや日は暮れ どんよりとした空に 泣きそうになる 来る冬の心構えは できたかと問われ 心細さは増す 立ち向かうために やせ我慢せずに できることは何かと おのれに問いかけてみる 何を求め何を身につけ 何を食し何を手放すのか そして 氷の冷…

岩場に舞う紫の蝶に ダンスを踊る少女の面影を見た 感傷に浸る間もなく 若い私は足元を見ていた そのことがどれだけ心に 影を落としたかはわからない 何度も何度も 蝶のことを思い出したのは確かだ

時とともに

退屈を退屈のまま 放置してはいけない 緊張を緊張のまま 放置してはいけない 虚無を虚無のまま 放置してはいけない 淀みはいつか より傾きを求めて流れていく 均衡点を求めて 緊張は解消していく 投げやりを回収しつつ 時間を進めていく

ダンス

君の姿を捉えたくて 目を凝らして ダンスを見るのだけれど どうしても見定められない くるくる廻り 左右に動き のけ反り 開脚し 指先にも つま先にも 目を届けたいのだけれど 息をつく間もなく ダンスは終わる

ひとり

一人になりたくて 水の流れのそばを歩いた 感情を鎮めたくて 山に登った 何度も何度も 水の流れは 山の高みは 何かを私に語りかけ 語り尽くさない 奥行きを見せた

緘黙

感じるものがあるけれども 語りかける言葉を持たず 宙ぶらりんな気持ちは どこに行ってしまうのだろう 言葉にすると意味は限定され ごまかしになる 空回りする言葉にはしたくなく ただ黙っているしかなかった ただの沈黙ではなく ただの傍観でもない それを…