富士山

遠くから見ているだけの富士山。 まるで月のように存在感を発揮する。 地上とはいえそこは別世界。 平地にいてどこまでも遠いそれを眺める不思議。 まだ登頂を果たさず。 七月になりさすがに雪は減った。

秘密

もしも願いが叶うなら 何を望むのだろう 終わってしまった過去を どうにかしたいと思っても きりがない 成し遂げることができなかった 多くの夢 夢破れても 夢と現実が程よく 覚めた眼で見渡せる ちょうど今なら 叶えたい願望を口に出すくらいの 贅沢はいい…

自分に還る

無理したり 浮ついたり 粋がったり 心にないこと言ったり どうしようもなく疲れる どうにかして自分に還る 落ち着く場所 心の中を覗ける場所 静かな場所 心をごまかす必要はなく ただ自分と向き合っている

深海魚

多くの嘘を見抜いてしまう眼。 闇を見すぎるのが怖くて 心に蓋をする内に 何が正しいこと 何が待ち望んでいること 何がやるべきことかを 見失ってしまう。 いつも心は平明であるとは限らない。 歪で 凸凹で 明るさを避け 時がただ過ぎるのを待っている。

感覚と経験

子供の頃味わった 数多くの新鮮な感覚。 その記憶だけは しっかり残っているのに その感覚を味わうことは もはやない。 たった一度だけの あるいは 限られた時間だけの経験。 置いてきぼりに された気になる。 どうやったって そこには戻れないから。

過去

楽しかった過去を思い出す 辛かった過去を思い出す 客観的事実なんてものは無く それぞれの出来事が断片として浮かび上がる 全ては終わってしまったこと 過去は変えられない 確かにこれだと取り出すこともできない 今の自分は過去の道のりの果てにあると 肯…

生活

手に入れたいものは何? 見たいものは何? 行きたいところはどこ? ぼんやりしていたら 通り過ぎても見過ごし 間に合わずに 何もかも失われてしまうだろう そんなこと言ったって あわててみたって どうしてもなんてものは 滅多にない 日々の疲れと 寒さや暑…

午前零時

やり残したことばかり 勝ち負けでいうと今日も負けた 何も事件は起こらなかった 平穏無事を祈ったから 余計な煩わしいことに 巻き込まれることはなく それはそれでいいのだけれど 残り時間がまた減った という悔恨に囚われる シンデレラでは無いけれど もう…

あの人は今

久しぶりに出会う 記憶の中は十年前やそれ以前 老けたよねと思っても お互い様だ 声には出さない あちこちにパラレルワールドがあり ひょっとして 十年前の世界だって 今現在実在しているのかも ああ、あの人は今頃どうしているだろう

空き地

いつもの通り道 久しぶりに通ると がらんとした空き地 濃厚な人の気配 しかし何もない ただの空き地 庭木や自転車や車や家屋なく そこにあるのはただの小石 当たり前は当たり前でなく ただの記憶となりはてた

生活

明るい日の下では 雲散霧消してしまう類の 憂鬱 明日になれば きっと積み重ねた 沢山の経験で 少しは楽になる 毎日の生活は 変わり映えのない繰り返し 季節が少しづつ変わっていくように 気が付けば遠いところに立っているのだろう 坂道を転げないように 足…

明日はいい一日

今日食べたもの 今日読んだもの 今日歩いたこと 今日人に会ったこと 今日の生活が 明日の自分を作る 明日はいい一日 一年後はいい年で ありますように

名もない道を行き 何が待っているのかも 定かでない道を行けば 誰に頼るのでもなく 自分だけが頼りの心細さ いつかはたどり着くのだろうか 誰もいなくて 独りよがりにしか過ぎなくて ずっと続く暗闇を通り過ぎて その先へ 空を見上げれば いつも変わらない …

長髪

四十過ぎて薄毛となり、更に歳を重ねますます前頭部に毛がなくなる。 少し残念な気もするが長い歳月のうちに受け入れている。問題は見た目より自分の内にある活力なのだ。だんだん夕暮れ、活力が減退。 そういう身になってきて、髪とは人間の内なる自然なの…

前へ

心は揺さぶられる 着実に前に進むためには 心はフラットに 怯えないように ふらつかないように 淀まないように 焦らぬように どれだけ待てばいい? どれだけ信じればいい? 信じ続けたわけではなかった 願い続けたわけでもなかった 信じることで救われると …

紫陽花

季節は繰り返す 紫陽花の花は雨と共にあり 昨年も一昨年も 多くの思い出など無かったように ただ咲く

調和のとれた世界

あるべきものがある場所へ。 ひどく貪(むさぼ)る人もなく ひどく貧しい人もなく。 限られた人生。 持つ人も 持たない人も やがて土に還る。 人の世の騒ぎも 悲しみも 全てはやがて去り行く。

幸福

浮ついた言葉が多い世の中で 君の言葉を受け取った その言葉は決して力強くはないけれど 確実に届いた 心が震えた 言葉を受け取るには 雑音に惑わされないよい耳が必要だ あなたと同じ時代に生まれた 幸運を思う そして同じ場所に立つことができた 幸福を思う

生きていく

当たり前なんてないんだよ。 みんな平気な風に生きているように見えるけど それぞれ大変で それぞれ精一杯に生きている。 ああ、明日からも生きていかなきゃ。 平凡で 格好つかなくて ギリギリでも また明日も。

もっと

今更ながら言いたいことあるのか もうどうでもいいのか わからないまま 瞬間に妄想し すぐに忘れ去る 言いたいことなど ありふれたこと 生きている 生きてきた もっと遠くへ もっとまっすぐに もっとしなやかに もっと もっと

ある時は遥かに大きなもの ある時は取るに足らぬもの ある時は存在を忘れ ある時はまた巨大に膨れ上がる いつもそこにあるだけで もう長らく形は変えていない 自分の心が変わっただけ 今日もただそこにある 風が吹き日が当たり雨が降る 何者かに見つめられて…

渇き

喉の渇きは癒せない。 いつのまにか乾いてしまったこの体。 そのことに気づかないまま 時は過ぎる。何が欲望なのか 何が不足なのか 何が過剰なのか鈍い頭のまま 濁った眼をして 外に顔を向ける。

生きている限り

始まりもしないのに もう終わりのことを考えている。 いつかは 永遠にいつかになり 始まりもしなかった旅は 頭のなかで無かったことになっている。 さよならを言うさびしさは もう過去のもの。 なぜなら生きている限りは つながっている。

準備

準備はできたか 長く白紙のまま 手付かずで そのたった一歩が踏み出せない 準備はできたか もう夕暮れ時 すべてのことは すでに終わりかけている 今更出発できるのか 準備はできたか 誰も待っていない 連れは誰もいない それでもまだ見ぬ先に 向かって歩いて…

写真

多くの写真を撮ってはみたが ピンぼけ 手ブレ 期待はずれ 引き伸ばしに耐えるようなものは一枚もない カメラのせいだ レンズのせいだ とは思ってみるが この目は写った写真以上に捉えていたかは疑わしい ただ目が肥えただけだ それにしても 理想と現実の違い…

芝桜とチューリップとクリスマスローズ

けやきの木

ずっとそこに立っていた。 いつも側を通りすぎていた。 何度も何度も。 大きな存在なのに他のものに紛れて 少しも目に止まらず もう無くなると知らされて 迂闊にも気に留め 謝る気になる。 無かった事にしない。 一生懸命写真を撮ったがむなしい。 多くの去…

二人の間を流れる川は浅くて狭い なのに二人を遠ざける たとえ二人の間に川が無かったとして 二人は隔たらずにいられたのだろうか

この体

この体は速く走れないことを知っている。 この体は多くの物を持てないことを知っている。 この体は多くの限界を知っている。 頭はそれを許さずより遠くへ行こうとする。 心は悲鳴を上げる。 体を置き去りにして前に進むことはできない。 体のことを思い出せ。…

三日月の夜

日が暮れて西の空から三日月が上って来ました。 だんだん暗くなり星の光が増して来ます。 そして飛行機が通り過ぎて行きます。 見送ったら、また次の飛行機が通り過ぎを繰り返します。 やがて星空は静かさを取り戻しました。 星の位置を確認するためじっくり…