もっと光を。

道路のすぐそばに、植えられた杉林。

幼樹のうちはきままに育った。

成長につれ枝葉を伸ばす余地がなく、下葉は白く枯れた。

すぐ隣の樹が邪魔をして、十分な光が当たることがない。

まっすぐ上にだけ伸びて光を求める。

間伐のコストが合わず、放置されたまま。

光を求める過当競争。

昼間なのに日が射さない異様な風景。

その姿はまるで人間社会を思わせた。

 

もっと光を。

光が当たらなければ、人も枯れる。

人は歩けるのだから、自ら光を求めることができる。

しかし必ずしも光が当たる場所に辿りつくとは限らない。

でも木々と同じく、光を求めようとすることはできる。

日が射す場所で、天高く枝葉を広げて光を浴びよう。