届かない

届かない

届かない

届くわけもない

届けようとしていないから

届けられない理由は

届けるほどの

届ける言葉がないから

届かない

届かない

届かないままで

届いた気がするわけがない

届かない手紙を待ったって

届かないよいつまでも

東京

長年住んだ東京

あちこち働いた

あまり観光はしていない

働く場所だから

 

人混みは嫌い

イベントがあると

目的地と自宅と

最短距離で最短時間で

帰ってしまう

 

山の上から見た

東京は

晴れているのに

曇ったガスで

覆われている

 

嫌いと言いながら

住み続けている

仕事があるから

 

会いたい人がいるから

まだこの先も住むだろう

やり残したことがあるから

まだこの先も住むだろう

 

東京

東京

何もあり

何もない街

東京

何も残らないのが

ちょうどいい具合

六月

虫の鳴き声を聞いた

早い台風が発生

通勤に半袖服で行く

季節は動いている

今年もあっという間に半年、

まだ始まったばかり

でも終わりを意識している

過去

私は知ってしまった

全ては手遅れなのだと

いつの間にタイムアウト

なってしまったのだろう

もはや打つ手には意味がない

過去には戻れない

未来を信じるには

もはや過去をきっぱり

封印するのだと言いながら

老いの自画像を見定められなく居る

 

 

夢想

私は夢想する

いつか

この地を飛躍して

全てがつながり

大きなものへと

小さな自己を

乗り越える日を

 

それは

若き日の空想とは違い

なにがしかのあきらめと

生の熟成とも言える何物かを

含んでいる

 

きっと

その日はやってくる

 旅立ちの日から

それを

ずっと

願ってきた

夕焼け

雨上がりの夕焼け

空中のちりを洗い流し

鮮やかに映える

 

眼を輝かせて人々は

立ち止まり写真を撮る

吾もその一人

 

空と地上の境目は

まるで

この世とあの世の

架け橋

 

 

残酷

全てがわかっているとしたら

全てが予定通りだとしたら

全てが通り過ぎるだけのことだとしたら

全てが誰にも知られないままに

終わってしまうだけのことだとしたら

それは何と残酷

 

多くの悩みも

いずれは終わる

それは救いとともに

何と残酷

十二時

深夜

いきなり

掛け時計の針が

くるくる回る

そう

電波時計の時間合わせ

だが針は

意志を持ったように

十二時でピタリと止まり

その先に進まないのだった

 

馴染みの場所へ

どうしても

生きている内に

行けそうにない

 

行けないことは

無いはずだが

そのためには

寿命を縮めるほどの

大変さを感じる

 

時間も

空間も

気にせず

行けたら

素敵なことだが

不吉にも

時空を超えるとは

生死を超える気がしてしまうんだ

 

自分がどうであれ

その場所は

自分とは無関係に

存在し続ける

今日も

明日も

退屈

多くの退屈を

食いつぶすうちに

それは惰性だと

冷める

 

時間をやり過ごすだけなら

惰性でもいいが

後悔の念が湧いたとき

それは

酷く無残だ