2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

あの人

誰かが昔の誰かに似ている 連想して昔の誰かを思い出す 決して重ならないのに その人の面影を眼前の人に見出すのだ だから何だということもないが 二倍の生を 二つの時代を 見出しているような 奇妙な感覚がある

季節外れの雪が降る 高い山には白い雪 地球上のどこかは今も冬 冬が空を彷徨っている

三十年

三十年余りが過ぎた 一世代前 まだ産まれていなかった子が 今や一人前の顔をした 大人になっている 時は過ぎ 三十年前の常識は 現代の非常識 うっかりしていると 大きな勘違いをする 世の中は大きく変わる 渦中の我々は ただ翻弄されている 歴史の教科書で学…

季節はいま

日の当たる窓際で 寝転んでゆったり 長い冬を乗り越えたごほうび 湿気の多い梅雨 暑苦しい夏が来るまでの 快適なひととき 木々は緑の葉を再びまとい 花々が咲き誇る 植物のようにじっと動かなくても 季節の喜びを感じている 君に会いたい

めまい

忌々しいめまいも 長い付き合い 羽ばたこうとするたびに 限界を見ろと 現実を突きつける 果たして単なる敵対者であったのか 思わぬ足元を掬われないように 無謀さにアラームを鳴らし 死地から救ってくれた 強力な味方であったのかもしれないのだ

夜に

力を尽くした果ての まるで徒労だったと思い知らされた夜は さすがにそれ以上立ち向かう気力は無く 地に這う心地 夢だとか希望だとか まだ将来を信じられるか 運命を信じられるか 生きてだらしなく 今日の所はその先の 明日を思うだけでも上等だ そうやって…

孤独

誰かを思って 心に火が灯るとき 決して独りではない つながる手は離さない

ある思い

自分の言葉が 実は誰かの言葉の引き写しで まるでオリジナルはない という悪夢を見るというか感じる 確かに言葉は昔から使われて 故人や世間から習ったものばかり 自分が発する言葉、 実感から発する言葉も 社会から離れて存在しない だから借り物の言葉とい…

それぞれの

人が大勢いても 生い立ちが違い 生活が違い 性格が違い 考えも言動も 決して重ならない その多様性が頼もしくあり 伝わらなさがもどかしくもある

いつも

大きな痛みは 小さな痛みを覆う 大きな痛みが去った時 小さな痛みが 顔を出す 悲しみも 寂しさも また同じように

桜散る

花冷えの晴天の日 青空眩しく 後ろには雪を抱いた大きな山 どんなにか待ち望んだ春 更に桜散らなければ 本当の暖かさはやってこないのだ