2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

嘘は虚言だけでない。 黙っていても 何もしなくても そのことにより 嘘を形作っていく。 嘘で塗り固められた人生。 ふざけた過去は 無かったことにしたい。 どれだけ軌道修正すれば 良かったのだろう。 歪んだ心は現実を 正しく認識しているのか。 そんなも…

同じ風景

君と僕の前に同じ風景がある。 でも受け取るものは同じではない。 君と僕の前に同じ音楽がある。 でも受け取るものは同じではない。 君と僕の前に同じ絵画がある。 でも受け取るものは同じではない。 同じものを見て、 感じるものは同じであると 保証するも…

枯れ野に芽吹く野草。 庭先の樹木にも新緑の葉が広がる。 霞みがかる町並み。 季節は確かに移り変わる。 余裕があればその時を味わい 余裕がなければ過ぎた歳月をただ惜しむ。 何度も何度も季節は繰り返し そして 何度も何度も心は季節を喜んでいる。

沈黙

賑やかな音は何も語っていない 饒舌な喋りは何も語っていない 君は沈黙の音を聞いたか ひたすら宇宙に流れる沈黙の音を 静かに己が身のうちに流れる 鼓動を 息吹を 沈黙のうちに 浮かび上がる ほんの少しの声 耳をすませば聞こえるか シンとした夜空に向かい…

過去

若い時のあなたしか知らない 時は過ぎ思い出は遠い昔 生きているのか元気でいるのか こちらは生き延びて なんとかやっている 若い時のあなたは元気だった そうだ もう遥か昔の話 いつか会えるとも思っていない なぜあの頃 会うのが当たり前のように思い 今は…

憂鬱

憂鬱を飼いならす 息が詰まりそうになったら 家事をする 息が詰まりそうになったら 皿を洗う 息が詰まりそうになったら 皿を拭く 息が詰まりそうになったら タオルをたたむ じっとしていることが続くと 鬱々する 身体的な単純な憂鬱は これで解決できる しか…

気持ち

揺れ動く気持ち このままじゃいけない このままでいい 生き物だから移り変わる 自分だけに 閉じこもる気もないけれど 果たして開かれているのか 心は外に 開かない心は つながらない つながらないままで 恨んでも 一体何に対して

美しいもの

美しいものを美しいと言う 美しいとはなんだろうか 調和が取れている 気品がある 気高い 容易に崩れない力強さがある 生命力に溢れている ものはみな時を経て崩壊する 時は流れそこにとどまることはない つかの間の繁栄であることを知っている それが故に今…

無くしたもの

窮屈な靴を脱ぎ捨てて 窮屈な服も脱ぎ捨てて ただこの肉体は脱ぎ捨てられない 感性が鈍り どうしようもなく嫌悪感を抱くことが無くなった 耐性ができたのか 鈍感力か 世間と自分の間に横たわる どうしようもない違和感も 取り立てて騒ぎ立てるほどのことはな…

音と静寂

賑やかな音の連なりは 隙間を埋めるように 静寂を嫌い 空間を埋め尽くす しかし音が途切れた 僅かな時間に 多くの物語の時間が流れる

その先へ

諦めていたこと 投げやりにしていたこと 先延ばしにしていたこと ひとつづづ潰していく 過ぎてしまった時間は取り戻せない 疎遠になった人たちの仲は取り戻せない どこまでも 自分の可能性を 見切ったことで 肩の荷が降りたのか 自意識を大事に守り育てても …

春の雨

雪を溶かす雨 雪などどこにもないけれど 確かに雨は雪を溶かすだろう 雨の音は春を告げる 乾いた大地に沁み渡る 長い冬と別れを告げる準備はできたか それともまだ長い眠りを貪るか 雨の音は語りかける 春はそこまで来ていると