春の一日

暑くも寒くもない一日。

花が咲き誇っている。

街路樹の緑が増す。

仕事は順調。

長い冬が終わり

快適な春の生活。

 

でもその底には

健康不安やら

老いの不安やらが

うごめいている。

 

一日だけでも

翼が生えたように

何もかも忘れて

羽ばたければと願うが

決して重りが取れることはない。

 

扉の向こう

意志のあるところに道は開ける

想像したものは実現する

きっとあなたは扉を開くでしょう

そして明るく広い場所に立つでしょう

その日が来ることを

ここ( この日この場所 )から想っています

一体何をすればよいのだろう

いつも言葉を探している

励ます言葉を

慰める言葉を

希望の言葉を

 

そしてまた

言葉だけでない

イメージで考えている

言葉じゃないから

感じている?

いつか来る終わりを

 

日々は過ぎゆく

希望だけでなく

あきらめと

退屈

分かり合えない

絶望

ままならない身体

 

少しづつ失っていく

もはや取り戻せない

残酷さが明らかになったとき

一体何をすればよいのだろう

 

 

嘘は虚言だけでない。

黙っていても

何もしなくても

そのことにより

嘘を形作っていく。

 

嘘で塗り固められた人生。

ふざけた過去は

無かったことにしたい。

 

どれだけ軌道修正すれば

良かったのだろう。

歪んだ心は現実を

正しく認識しているのか。

そんなものは初めから無いのか。

 

 

 

同じ風景

君と僕の前に同じ風景がある。

でも受け取るものは同じではない。

 

君と僕の前に同じ音楽がある。

でも受け取るものは同じではない。

 

君と僕の前に同じ絵画がある。

でも受け取るものは同じではない。

 

同じものを見て、

感じるものは同じであると

保証するものは何もない。

それが世界の豊かさ。

確かなものなどない。

それが故に愛おしく感じる。

別々の人生。

枯れ野に芽吹く野草。
庭先の樹木にも新緑の葉が広がる。
霞みがかる町並み。
季節は確かに移り変わる。
余裕があればその時を味わい
余裕がなければ過ぎた歳月をただ惜しむ。
何度も何度も季節は繰り返し
そして
何度も何度も心は季節を喜んでいる。

沈黙

賑やかな音は何も語っていない

饒舌な喋りは何も語っていない

 

君は沈黙の音を聞いたか

ひたすら宇宙に流れる沈黙の音を

 

静かに己が身のうちに流れる

鼓動を

息吹を

 

沈黙のうちに

浮かび上がる

ほんの少しの声

 

耳をすませば聞こえるか

 

シンとした夜空に向かい

その音を聞く