秘密

もしも願いが叶うなら

何を望むのだろう

 

終わってしまった過去を

どうにかしたいと思っても

きりがない

 

成し遂げることができなかった

多くの夢

夢破れても

夢と現実が程よく

覚めた眼で見渡せる

ちょうど今なら

叶えたい願望を口に出すくらいの

贅沢はいいのかな

 

口に出すと幻となりそうなので

やっぱり秘密

 

深海魚

多くの嘘を見抜いてしまう眼。

 

闇を見すぎるのが怖くて

心に蓋をする内に

何が正しいこと

何が待ち望んでいること

何がやるべきことかを

見失ってしまう。

 

いつも心は平明であるとは限らない。

歪で

凸凹で

明るさを避け

時がただ過ぎるのを待っている。

 

 

感覚と経験

子供の頃味わった

数多くの新鮮な感覚。

その記憶だけは

しっかり残っているのに

その感覚を味わうことは

もはやない。

たった一度だけの

あるいは

限られた時間だけの経験。

 

置いてきぼりに

された気になる。

どうやったって

そこには戻れないから。

 

過去

楽しかった過去を思い出す

辛かった過去を思い出す

客観的事実なんてものは無く

それぞれの出来事が断片として浮かび上がる

全ては終わってしまったこと

過去は変えられない

確かにこれだと取り出すこともできない

今の自分は過去の道のりの果てにあると

肯定できれば幸いだ

諦めと悔恨と無くした痛みと多くの感情

それすらも徐々に形を無くしていく

 

生活

手に入れたいものは何?

見たいものは何?

行きたいところはどこ?

 

ぼんやりしていたら

通り過ぎても見過ごし

間に合わずに

何もかも失われてしまうだろう

 

そんなこと言ったって

あわててみたって

どうしてもなんてものは

滅多にない

 

日々の疲れと

寒さや暑さや

孤独を持て余し

昨日までの生活を思い

明日からの生活を思う

 

 

午前零時

やり残したことばかり

勝ち負けでいうと今日も負けた

何も事件は起こらなかった

平穏無事を祈ったから

余計な煩わしいことに

巻き込まれることはなく

それはそれでいいのだけれど

残り時間がまた減った

という悔恨に囚われる

 

シンデレラでは無いけれど

もう午前零時

今日は

明日に

バトンを渡す

 

あの人は今

久しぶりに出会う

記憶の中は十年前やそれ以前

老けたよねと思っても

お互い様だ

声には出さない

 

あちこちパラレルワールドがあり

ひょっとして

十年前の世界だって

今現在実在しているのかも

 

ああ、あの人は今頃どうしているだろう

空き地

いつもの通り道

久しぶりに通ると

がらんとした空き地

 

濃厚な人の気配

しかし何もない

ただの空き地

 

庭木や自転車や車や家屋なく

そこにあるのはただの小石

 

当たり前は当たり前でなく

ただの記憶となりはてた