2019-05-21 過去 詩 あまりにも過去から遠ざかり これが本当に望んでいた未来だったのか 歳をとるのは罪ではなく 自然と無くしてしまうものは 仕方がないさと諦める それでもなお大事にしなかった故に 手からこぼれ落ちたものを惜しむのだ
2019-05-16 愛せよ 詩 ここにある現実を見たくなくて 甘美な過去を見ている あるいは理想の未来を見ている アルコール無くても酔える 酔って辛さを忘れようとする だが現実を愛せなくて いったい何を生きるというのだろう 今この時を愛せよ
2019-05-13 二つの記録 詩 駅前のラーメン屋 跡形もなくなり アスファルトに覆われる やがて道路になるそうだ父の軽自動車は 廃車にしたそう もはや歳で運転できない 病院の通院は迎えの車が 来るそうだ タクシーなら 街まで往復5000円
2019-05-05 弁解 詩 多くを語るほど遠ざかる 語りは騙り 元より何も語らないほうが良かったか 自己主張は自己正当化 人のためとか言いながら 偽善の顔を被っている 人を傷つけながら それに気づかない鈍感さ お互い近づきたいのに 近づけないハリネズミの寓話 あなたはそれでもどこまでも優しかった わたしは勝手に喜んで 勝手に泣いて 頭を抱えている
2019-04-28 あの人 詩 誰かが昔の誰かに似ている 連想して昔の誰かを思い出す 決して重ならないのに その人の面影を眼前の人に見出すのだ だから何だということもないが 二倍の生を 二つの時代を 見出しているような 奇妙な感覚がある