三行詩

打ち上げ花火

夜になり聞こえる重低音 花火の打ち上げが始まった 夏の訪れ今年もまた

カーテン越しの星よ 気高くおまえは そこにある

いつも

自分を信じることが 何より重要なのに そんなことさえ忘れていた

タイムライン

ただ流れるだけのタイムライン 川の流れに似て 決して留めることはできない

あくび

大きなあくびをすると 涙が出るのはなぜだろう 気持ちよくてあくび連発

水は流れる 下流へと 下流へと

ススキ

風が吹き ススキはただ揺れている まだ枯れてはいない

子育て

子育ては 子にも助けられ もうすぐ終わり

日々

誰かのことを確かめて 自分の命を確かめる 空虚な心を埋めるように

街灯

ポツンと 街灯が 灯りを灯している

降り止んだ朝に 色違いの 花が咲く

朝顔

朝顔は 雨降る朝に 静かに咲いた

足音

雨戸越し 夜半に降り出す雨は 秘かな足音に似ている

仕事帰り 電車から降り 西日を見つめる

正義

あなたの正義は私にとっては独りよがり 私の正義はあなたにとっては思い込み どうしても重ならないどこまでもいつまでも

西日

西の空に傾く日は 人生を象徴するかのように 名残惜しそうに風景を照らす

無くしてしまったものを数える まだ無くさない前に あるものを数えないままに

三行詩 その4

別れを予感した言葉を発した あなたは再会までもを予言した 何もかもわかっているかのように

三行詩 その3

twitterでつぶやくことすらできなくて リツイートを繰り返す 条件反射のように

三行詩 その2

つぼみが花ひらく さなぎが蝶になる 飛躍の前には長い雌伏がある

三行詩 その1

天から舞い降りた言葉は 足跡も残さず 鳥のように飛び立った