過去


体育館の外の渡り廊下から
虚しく見上げた青空。
なぜここにいるのか。
何をしているのか。


プールに聞こえる歓声。
ちっとも楽しくなんてなかった。
笑顔は失われ
暗い眼をしていた。

明るい未来を信じていたのか。
逃げ出すことばかり上手になって
悲しいまでに遠くになった。

やり直したいわけじゃない。
ただ残酷なまでに
清算できない過去がつらいだけ。

 



記憶

一日がかりで

昨年別れた人たちの

名を思い出した。

もはや会うことはないし

連絡も取らないが

名さえ忘れてしまうのは

悲しい。

顔もエピソードも

覚えているのに

名前だけ消えてしまう。

 

苗字は思い出したが

フルネームはやはり出てこない。

明日も記憶を探るのか。

まだ消えたままの名前もある。

半月

月夜で明るく

星が良く見えない。

 

少しづつ寒さに慣れ

風邪をひく気がしない

今日この頃。

健康なのは何よりありがたい。

 

今朝は霜が降りていた。

初氷はもうすぐか。

 

 

 毎日新聞2016年1月13日 10時31分

毎日新聞
毎日新聞
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毎日新聞

 

北風

メモをしないから

忘れてしまったけど

毎日ひとつづつくらいの

詩は頭に浮かぶ。

大したことない毎日の

大したことのない事柄。

毎日積み重ねて日は過ぎていく。

 

今夜は北風が冷たく

オリオン座を見ながら

帰ってきた。

負け戦

希望も絶望も頭の中。

しかし胸を張って

戦い続けてきたかというと

心もとない。

 

心は虚しく

ある時は逃げ

ある時はジグザグに進み

ある時は地に這って耐えるのみだった。

 

生きているだけで

儲けもの。

勝ち続けることはできないが

負け続けることもない。

死に向かっていく人生を

思えば

全ての戦いは負け戦。

 

希望の歌を歌いながら

ゆっくりと進んでいく。

 

多くの詩が産まれた。

浮いた言葉は浮かばず

地を這いずり廻る言葉にこだわるばかり。

夢や希望を歌いたい。

誤解を怖れず歌いたい。

恥を忘れず歌いたい。

あなたのそばで歌いたい。

いつか花は咲くのだと。

無意識

駅前の田が潰れて

スーパーができた。

交差点そばにあった畑が潰れて

飲食店ができた。

駅そばにあった畑が潰れて

マンションができた。

近所にあった畑が潰れて

駐車場ができた。

経済原理のままに。

 

都市化が進み

多くの田畑は失われ

土の上は

アスファルト、コンクリートで覆われた。

止めることはできない。

 

自然から離れるほど

進歩したと言えるのか。

どんどん

心は失われ

生命力が衰えていく。

それすらも意識しないままに。

 

 

夢を見たい

温度を上げていくと液体が

ある時気体に変わる。

さなぎを脱皮して蝶に変わる。

長い冬を経て

蕾が開き花が咲く。

 

いつか花が咲く夢を見たい。

 

ずっと地に伏せているようでも

いつの日か花は咲くだろう。