自由

風に戯れる

自由でありたい

しがらみに囚われることなく

 

数多い制約の中で

もがき続け

自由を叫びながら

単に逃避しているだけだと

自分に愛想を尽かす

 

叶わぬことを

追い続ける辛さに

耐えきれず

諦めてしまったのか

やがて自由を

ことさら意識することなく

 心の平安ばかりを

望むようになってしまった

生き残ることばかりを

考えるようになってしまった

 

長く生きていれば

生命の限界に思いは至る

でも大空に羽ばたく

夢を見ていた日のことは

決して忘れることはない

 

記憶

封じ込められた過去の記憶の断片。
いまさら取り出してみても
霧のように形にならない。
かといって現在の出来事が
明確な輪郭を持つかと言えば
ただ通り過ぎるだけ。
なぜ。
わたしはまだわたしという
ものがたりを語っていない。

見送り

夜行バス
見送る人の
暖かさ

ターミナル駅を出た後、
夜行バスが途中駅に停まった。
たくさんの人が待っている。
乗車する人は少ない。
ほとんどが正月に帰省した
家族の見送りのようだ。
両手を降っている。
一月四日の夜のこと。

やり残したこと

いつも
今日は終わってしまうのに
やり残したことはないか
今年は終わってしまうのに
やり残したことはないか
何も無く無事終わった
ふとんの中では
ただ安堵のため息

卑怯にも全身全霊には
成れなかった自分
格好よく有りたいという
自意識さえ保てなかった
嵐が過ぎれば
平穏な青空
しかし心はいつも
波立っている

自分に問いかける

何を求める

どう生きる

答えがなく

為す術がない時

固まった心を解放するために

外を出歩いて

自然に問いかける

簡単に

答えなどないが

心が暖かくなることはある

遠出はできない

ただ川を見ながら

歩いているだけ

遠くには山が見える

幾度か

川に救われてきたようだ

全ては過ぎてから思うだけ