輝き

一人の若い女性が

彗星のように輝き

暗闇へと消えていった

 

彼女の輝きは

人々の記憶に残る

 

遺された者たちは

短い彼女の生涯に涙する

 

別れはいつだってあるし

予期せぬ出来事もいつだってある

 

ああそれにしても

亡くしてわかる

生の輝き

もう一度会いたい

叶わぬ夢

 

ああ

本当にあなたは輝いていた

 

 

 

 

通り過ぎる風景

いつまでたっても

ただ通り過ぎる風景

そんなものにしかならなかった

 

なつかしい風景

ただ思い出の中にある

目指す場所はそこでもない

 

いつか辿りつけるのだろうか

目指す場所というものへ

呪い

収穫するキャベツの重み

振るう鍬の重み

積み重なった書籍の重み

 

手放す

 

手放すことにより

身体は軽やかさを取り戻す

 

重い荷物は心身に負荷をかけ

その重みにより

生を実感させるが

もはや地に縛り付けられることから

逃れたい

 

離れることにより

飛び立つことを願うが

また別の重力の呪いを

掛けられるのだろう

 

 

すっぱいブドウ

逃げてきたことはないかと考える。

肩の力が抜けて

こだわりもなくなってきたけど

まだ「 すっぱいブドウ」がありそうだ。

なにもかもできるわけではないが

( 時間もなく、金もなく)

何が「 すっぱいブドウ」

だったかは

はっきりさせたい。

だって悔しいじゃないか

滑稽じゃないか

他人からははっきりわかる

本人だけは気づいていない。

 

 

鉢植えの蜜柑

鉢植えにして何年経ったか正確にはわからない。

およそ八、九年だと思われる。

引っ越し前の家では、それなりに実っていたはず。

四年前の春、引っ越しに伴い、鉢を移動した。

その時の振動が悪かったか、環境が変わったのが良くなかったか、花が落ちてしまい実は一個もならなかった。

ここの庭自体は日当たりは悪くないのだが、自転車に場所を取られて脇に追いやられ、山茶花の木などの影にかかり、蜜柑の樹に日当たり、風通しが悪い。

そしてその翌年も次の年も実らず。

そして昨年も相変わらず実らずと思っていたら、秋になり周りの樹が葉を落としたときに、蜜柑が二個成っているのに気付いた。

風流に成ったままを鑑賞していたら、先週末に胴体が黄色い小鳥二匹が訪れ、蜜柑を食べていた。

実は転居前の家でも、成った蜜柑を小鳥に食べられていたので、こうなる運命を受け入れていたのかもしれない。

今年こそは日当たり、風通し、肥料に注意をして、是非とも収穫を目指したい。