この体

この体は速く走れないことを知っている。
この体は多くの物を持てないことを知っている。
この体は多くの限界を知っている。
頭はそれを許さずより遠くへ行こうとする。
心は悲鳴を上げる。
体を置き去りにして前に進むことはできない。
体のことを思い出せ。
体無しにはいられないんだ。

三日月の夜

日が暮れて西の空から三日月が上って来ました。
だんだん暗くなり星の光が増して来ます。
そして飛行機が通り過ぎて行きます。
見送ったら、また次の飛行機が通り過ぎを繰り返します。
やがて星空は静かさを取り戻しました。
星の位置を確認するためじっくりと星を見渡します。
北斗七星がありました。そこは庭を横切って家の角を北に見上げるとちょうどの場所です。
この歳になって気付くとはと、いささかほろ苦いような思いがしました。

完全燃焼

燃え尽きたいと思っていて

一日終わる頃には

灰のように燃え尽きる

いやもう朝から

燃やすものなど

無いほどの体たらくだし

実際はくすぶり続けるだけで

何もかもが生煮えのままだ

それでも

燃えようとする

火種だけは残っている

 

春の一日

暑くも寒くもない一日。

花が咲き誇っている。

街路樹の緑が増す。

仕事は順調。

長い冬が終わり

快適な春の生活。

 

でもその底には

健康不安やら

老いの不安やらが

うごめいている。

 

一日だけでも

翼が生えたように

何もかも忘れて

羽ばたければと願うが

決して重りが取れることはない。

 

扉の向こう

意志のあるところに道は開ける

想像したものは実現する

きっとあなたは扉を開くでしょう

そして明るく広い場所に立つでしょう

その日が来ることを

ここ( この日この場所 )から想っています

一体何をすればよいのだろう

いつも言葉を探している

励ます言葉を

慰める言葉を

希望の言葉を

 

そしてまた

言葉だけでない

イメージで考えている

言葉じゃないから

感じている?

いつか来る終わりを

 

日々は過ぎゆく

希望だけでなく

あきらめと

退屈

分かり合えない

絶望

ままならない身体

 

少しづつ失っていく

もはや取り戻せない

残酷さが明らかになったとき

一体何をすればよいのだろう

 

 

嘘は虚言だけでない。

黙っていても

何もしなくても

そのことにより

嘘を形作っていく。

 

嘘で塗り固められた人生。

ふざけた過去は

無かったことにしたい。

 

どれだけ軌道修正すれば

良かったのだろう。

歪んだ心は現実を

正しく認識しているのか。

そんなものは初めから無いのか。