2019-03-09 螺旋 詩 時間が経てば前に進める すべてが過ぎれば過去だけになり やがては記憶さえ無くなる 進む方向が間違っていたというなら 一体どれだけ前に戻れば 元の曲がり角に戻れるのか 行き着く先は破滅の道だと 知っていたのではないか ただ今は生き延びていることだけが 信じられるような それだって本当は 大きな傲慢かもしれないのに
2019-03-03 モノクロ 詩 騒がしい世の中から色を取りあげ モノクロになりました。 騒がしい世の中から映像を取りあげ 音だけになりました。 騒がしい世の中から音を取りあげ 世界は無音になりました。 私は声を発することができなくなり 世界は透明になりました。 いつの日か世界は 色を 音を そしてわたしは声を 取り戻すことが できるでしょうか?
2019-02-23 ラジオ エッセイ パソコンでラジオを聴いていた。 外国の歌手の曲が流れた。日本人の姓にもある名前。 かつての職場で隣の女性がこの姓だった。 私はここで働き出したものの職場のあまりの扱いに憤りすぐ退職。 どうひどかったかは今は書かない。 その決断は誤っていたとは思わない。 経歴書からも抹殺した。 彼女から言われた助言はまだ覚えている。 十年以上前のこと。 ただあの頃と比べるとずっと気が長くなった。
2019-02-17 オリオン座 詩 仕事帰り 暗闇の中から 夜空を見上げると 月の近くに オリオン座 この星座を知ったのは 数年前 知らなくても不便ではないが なぜ知らなかったのかが 不思議に思えるほど 見分けが付きやすい 砂時計のようだから
2019-02-11 はるか遠く 詩 失われた感覚 もはや取り戻せない感情 記憶の中にだけある あれらは本当にこの身に 起こったことなのか 何もかもが幻でしか 無かったような 取り戻したい しかし 過ぎ去った時代は 決してここには どこにもない どうしようもなく はるかに遠い いつの間にか しかし本当は それに気づいていた
2019-02-10 ある感情 詩 どうにもならない 痛みを 怒りを 惨めさを 無感覚に 押し込めても それはいつか 出口を求めて 溢れだす混乱した 感情を整理しようにも 狡さと 弱さと 諦めで 確かさを得る ことができないままだ
2019-01-28 昨日、今日そして明日 詩 今はまだ多くを語れず。 言葉に力強さを持たず。 自分自身を納得させるに至らず。 いつまで待てばいいのか。 混沌としたまま齢を重ね、 永遠の生がないのなら、 もはやあるがままを受け入れるだけだ。 その先は無い。
2019-01-09 自由 詩 風に戯れる 自由でありたい しがらみに囚われることなく 数多い制約の中で もがき続け 自由を叫びながら 単に逃避しているだけだと 自分に愛想を尽かす 叶わぬことを 追い続ける辛さに 耐えきれず 諦めてしまったのか やがて自由を ことさら意識することなく 心の平安ばかりを 望むようになってしまった 生き残ることばかりを 考えるようになってしまった 長く生きていれば 生命の限界に思いは至る でも大空に羽ばたく 夢を見ていた日のことは 決して忘れることはない