喪失

失って初めて、その重みを知る。

予感していたことは言え、

事前に本当の覚悟ができるはずもない。

多くのものを無くした。

現実を受けとること、

それすら日々刻々と崩れるように形を変えていく。

すべてのことは幻か?

幼き日々の感動や青春時代の感傷や、

通りすぎた風景は記憶にあるだけ。

捨ててしまった子供時代のアルバム。

過去と決別したかった。

どこまで行っても自分は自分でしかなく

反発する相手ももはや手応えがない。

いまさら戻る場所もない。

自分自身が自分の戻る場所と信じて

生きるしか無かった。