けやきの木

ずっとそこに立っていた。
いつも側を通りすぎていた。
何度も何度も。
大きな存在なのに他のものに紛れて
少しも目に止まらず
もう無くなると知らされて
迂闊にも気に留め
謝る気になる。
無かった事にしない。
一生懸命写真を撮ったがむなしい。
多くの去り行くものと同じく
ただ静かに別れを告げるしか無いのか。
そしてまた
別れも告げず多くのものたちと
別れてきたことを思い知る。