鉢植えの蜜柑

鉢植えにして何年経ったか正確にはわからない。

およそ八、九年だと思われる。

引っ越し前の家では、それなりに実っていたはず。

四年前の春、引っ越しに伴い、鉢を移動した。

その時の振動が悪かったか、環境が変わったのが良くなかったか、花が落ちてしまい実は一個もならなかった。

ここの庭自体は日当たりは悪くないのだが、自転車に場所を取られて脇に追いやられ、山茶花の木などの影にかかり、蜜柑の樹に日当たり、風通しが悪い。

そしてその翌年も次の年も実らず。

そして昨年も相変わらず実らずと思っていたら、秋になり周りの樹が葉を落としたときに、蜜柑が二個成っているのに気付いた。

風流に成ったままを鑑賞していたら、先週末に胴体が黄色い小鳥二匹が訪れ、蜜柑を食べていた。

実は転居前の家でも、成った蜜柑を小鳥に食べられていたので、こうなる運命を受け入れていたのかもしれない。

今年こそは日当たり、風通し、肥料に注意をして、是非とも収穫を目指したい。

 

 

天井

天井を眺めて

ぼんやりする

なんていう

ぜいたくな時間を

持てなくなった

何かしていないと

いけないんじゃないか

という強迫観念

追い立てられていた方が

無用な悩みを

忘れていられる

という悲しい思い込み

 

あーあ天井には

数々の思い出

同じ天井では

ないけれど

 

どうか

溺れてしまいそうなら

逃げることを考えてほしい

もう駄目だと思ったら

肩の荷を下ろしてほしい

毎日辛いことばかりだったら

やりたかったことを思い出してほしい

息ができそうにもないと感じたら

深呼吸をして肩の力を抜いてほしい

眠いのなら

何よりも先に眠ってほしい

 

そして本当に元気になるまで

闇雲に動かず

充電完了を待ってほしい

 

こだわりがあなたを苦しめる

生きていることは

柔らかく

温かく

動いていくこと

 

どうか自分の力を信じてください

 

 

十年前

もう若くないとわかっていたが

通りすぎてわかる

十年前は十分若かった

時々思い出す

一昔前のことを

あるものは成長し成熟し

あるものは衰え消滅する

急流に押し流されず

なんとか踏みとどまる

十年経てば環境は変わる

世の中も変わる

古い友達との距離はへだたり

新しい友人は増えてはいない

あーあ、時は過ぎていく

二度と戻れない日々を

置き去りにして

破綻

投げやりな細部を積み重ね
あやふやな土台の上に立っている
少しづつでもプラスなら
浮かび上がるが
実は空気が漏れている方が多い
泥船のように沈み込む
綻びは見えているのに
パニックを避けて
騒がない
驚かない
気がつかないふりをする
世間がみなそうだったら
どうってことはないと
気づいている愚かさ
気づかない愚かさ
何もしないんだったら同じこと
間違った努力は
方向違いなんだから
しないほうがまし
進む方向が見えないことほど
危険なことはない
考えよう