六月、真昼

太陽真上で 頭の影を踏む ベランダ

人生

人生は短い 1、2、3と 数えるほどに

カエル

どこかでカエルが鳴いている 近くには 田んぼも 水路も無いのに 遠くから 風に運ばれて来たのか

初めまして

君は初めましてのようにありがとうを言った 何度も何度も

初夏

休日の午後 緩やかに風が吹き カーテンが揺れる 心をここにとどめず 遠い人のことを思う 鳥たちがけたたましく鳴く もうすぐ梅雨だ

谷ひとつ隔てて 似たような暮らしが広がる 用が無いから わざわざ行かない でもそこには同じようでいて 微妙に違う世界があるのだろう 谷の隣のもう一つの世界

何か無いか

言うこと無いなら 黙っていればいいのに 言葉を忘れそうだから 何か無いかと 思ってみるものの ただ静かに 息をするだけ

過去現在

何年遡ったら 生の輝きを取り戻せるかと試してみたら いつまで戻っても地続きで ただ若さ故の恐れ知らずと臆病と 坂の上を仰ぎ見る希望があったことだった 無事に時が流れることを望んでいた そして時は流れた 多くの希望を残したままで

思い

出会いは一期一会 だから良いは良いと言い 思いは伝える 機会を逃さないように

そこから

いつも、そこからの距離、時間を測って 自分のいる位置を見定めていたが もはや、そこから遠すぎて戻ることもできず 自分がどこに向かっているかもわからない 仕切り直すことは可能なのか 考えるべきことは多いはずだが おそらく残された時間はあまり無い

寄せては返す波 ひとつひとつは取るに足らぬ 何度でも何度でも繰り返されて 想いは波にさらわれていく

チャンス

求めなければ得られない。 求めるうちにやがて手に入ることもある。 諦めたら終わりだ。 チャンスは手の内にある。

人間

時に一人 静かしさの中に 世界と 宇宙と つながる その感覚だけは 本物 そしてまた 人間に帰る

今日と明日

諦めたら終わりだが 諦めなかったら煮詰まって もっと終わる 明日に希望を託し 今日を終わる

混沌

日々言葉は枯れ 感覚は鈍り 何故にという問いに あまりにも自然から離れ また老いゆく我が身ゆえにと 思うけれど 取り戻せるのか 元の位置はどこなのか そこからはあまりにも遠い

洗濯物

天気予報は曇りで でも朝から霧雨で 昼から明るくなったので 室内干しの洗濯物を外に出した また空はどんより暗くなり 少しの風に洗濯物が揺れている もう少しは風に当てておく

つながる

線でつながる右と左 つながるゆえにからみつく お互いバラバラなら からみつくこともないのに

空白

肝心なことが まだ残っている気がするのだが コロナ禍や政治的混乱や あるのかないのか 来たる東京オリンピックやらで すっかり思考停止 なるようにしかならないのだが この空白は確かに空白として 日々心に刻みつけている あるいは刻みつけられている

配信と春

配信の演奏と演奏の合間に 演奏中には聞こえていなかった 窓の外を行き交う車の音 服装はまだ冬服だけど 季節は確実に 春

細い糸でつながっている僕ら 風に吹かれたり 自らの重さに耐えかねたり ちょっとしたことで 糸は切れてしまうかもしれない今はまだつながっている意味を どれだけ理解できているか 本当にはわかっていないただ細い糸でもつながっている その糸は光り輝いて見…

風は春色

風は春色 冬の衣装を身に纏い 向かい風に向かって行く 見せかけの春に 身構えながら 枯野にまばらな緑の葉 虫たちはまだ顔を出さない 日ごとに強まる日の光 風は春色

二月

立春過ぎ日毎に射す日が強くなり 日没も随分伸びた 箱の中のじゃがいもは どんどん芽を出す 昨年はどんな二月だったか 来年はどんな二月か 当たり前が当たり前では無くなった この時代に生きている

無い物ねだり

どんなに長い習慣もどこかで途切れる まだ愛着が残っていたとしても 対象がそのままの形で保たれず 自分の関心だって移り変わる でもいつだって帰る場所として 変わらずにいてほしい 勝手な無い物ねだり

僕らの未来

時を超えて 空間を超えて 僕らは出会った 昨日のあなたと今日の僕 昨日のぼくと今日のあなた 今日の僕と今日のあなた 僕らは手を取り合って 明日に駆けて行く

どうせ受け入れたって 不快になるだけだから 心を閉ざした 耳を塞いだ 目に入るものに ピントは合っていなかった それが身を守ることになったのか ひとりよがりの愚かさなのか わからないままだ

過去

辛い過去も 苦しい思い出も 昨日の様だが どんどん遠ざかる ましてや 楽しい過去や うれしい思い出も 今ここに残るもの どれだけあるのだろう 全ては夢の様に

一月の久しぶりの雨は 春の訪れを予感させるほどの 激しい雨 まだ大寒を過ぎたばかり 明日までに積雪の天気予報 春には遠い 本当に積もるのかな

今だけを

今を 今だけを見つめる 貸し借りは無しだ

雪の中へ 緑の中へ 雲の中へ 水の中へ 今はただただ どこにも溶け込むことができず 心は固くうずくまっている

余裕が無い時 人に構っておれず 心の扉は閉まる 許容範囲が狭くて 少しの差異に耐えられず 心を閉ざす その間も世間の時間は流れ 再び扉を開けた時 失った時間に声を失う それでも生きてきた 誰でも持つ扉 薄く開けて外を覗う