2018-01-01から1年間の記事一覧

風景

朝の通勤路 雑草は繁茂し 盛り返した夏の じっとりとした風に揺れる 電車に遅れないように いつもの早歩き 長い階段を上り 駅舎は高架の上 淀んだ空気の中 心臓はドキドキ 夏バテというのか 夏の疲れはピーク 帰り道 定時に帰っても 日に日に日暮れは早まる …

生きている

あわてるな。 きみが生きている というだけで それは 過去から 連綿と 続いた 生命の リレーの 証。 それを幸運と 呼ばず 何と呼ぼう。

創作

詩作については構えて書くのではなく一瞬で降りてくるものを書き下ろす感じで書いている。いつか小説を書きたいと思いながら、未だに一行すら書いていない。たまに一瞬に構想というべきものが降りてくるが、すぐに飛び去り雲散霧消する。どうしてもこれが書…

暑い夏の昼下がり

言いたいことあったっけ 食べたいものあったっけ 歌いたいことあったっけ 行きたいところあったっけ 買いたいものあったっけ 外出から帰り 汗だくとなり 危うく熱中症 いろんなことは思考停止 この夏を乗り切ることだけを 生き延びることだけを 考えていた …

転々

次々と捨ててきた 捨てたつもりで 捨てられていたのでは 無かったか あの土地も あの場所も 居場所はどこにある どこでも無いどこかを 探し続けて もはや行く場所なんか無い

悠然と そびえ立つ山々を 見渡した 遠い夏の日々あの日には 戻れず 深い断裂を 思う失ったものは 時間なのか 心なのか遠い 遠い こんなにも

川は今日も流れる この流れはいつか降った雨 満々とした急流は通り過ぎた台風 何も言わず海を目指す 私は川に問いかける言葉を持たず 川の言葉を探ろうとしていた 黙って川辺を今日もまた歩いた

仕事帰り 電車から降り 西日を見つめる

今を見てても 心はすでにその先の 滅びを見ている 遠いところを見たからといって 今この道も歩いていかねばならぬのだ 今そのものを生き尽くす それが難しい 心は今を見 過去を見 未来を見ている

それ

足りない 足りない 埋め合わそうにも それはひどく 手が届かないどころか 遠いところにある いつまで経っても それはひどく遠いどころか ますます遠ざかる もはやそのことが 安心な気さえしている 私はそれを静かな場所で 思っていた

信号

渡る前に信号が点滅 待つのか 慌てて渡るのか 気まぐれに ある時は走り ある時は悠然と見送る 心境の違いがよくわからない 慌てて渡っても得はない ただ待ちぼうけを嫌っているだけだ どこまで行っても この体からは逃げられない ならばどこにいても 何をし…

うだるような暑さだ こんな日は何をしてもダメだ ただ生き延びることを願った気楽に 気楽に 頑張らない 頑張らない頑張ろうと思ったとしたら 正気を失っている熱中症になりかけた時の 気持ち悪さを思いだした 夜にも暑さは続いてる この熱を冬に分けたい 本…

生きろ

自分の人生を生きろ。 闘え。 疲れたらゆっくり休め。 辛い時は泣け。 なるべく人に優しい声をかけろ。 不正、差別に同調するな。 無人の荒野を歩むことを怖れるな。 負けを認める勇気を持て。 よく人の声に耳を傾けろ。 人を羨むな。 よく考えろ。生きろ。 …

僕と君

ぬるい風が吹いている 今日は雨でも 日照りでも無かった 蒸し暑さはエアコンの 冷気で打ち消された 僕は君でなく 君は僕でない お互いに持たないものを 羨んでも仕方がない 自分の持つ物のありがたさを わかっているだろうか きっとわからないだろう わかり…

届かない

届かない 届かない 届くわけもない 届けようとしていないから 届けられない理由は 届けるほどの 届ける言葉がないから 届かない 届かない 届かないままで 届いた気がするわけがない 届かない手紙を待ったって 届かないよいつまでも

東京

長年住んだ東京 あちこち働いた あまり観光はしていない 働く場所だから 人混みは嫌い イベントがあると 目的地と自宅と 最短距離で最短時間で 帰ってしまう 山の上から見た 東京は 晴れているのに 曇ったガスで 覆われている 嫌いと言いながら 住み続けてい…

六月

虫の鳴き声を聞いた 早い台風が発生 通勤に半袖服で行く 季節は動いている 今年もあっという間に半年、 まだ始まったばかり でも終わりを意識している

過去

私は知ってしまった 全ては手遅れなのだと いつの間にタイムアウトに なってしまったのだろう もはや打つ手には意味がない 過去には戻れない 未来を信じるには もはや過去をきっぱり 封印するのだと言いながら 老いの自画像を見定められなく居る

夢想

私は夢想する いつか この地を飛躍して 全てがつながり 大きなものへと 小さな自己を 乗り越える日を それは 若き日の空想とは違い なにがしかのあきらめと 生の熟成とも言える何物かを 含んでいる きっと その日はやってくる 旅立ちの日から それを ずっと …

夕焼け

雨上がりの夕焼け 空中のちりを洗い流し 鮮やかに映える 眼を輝かせて人々は 立ち止まり写真を撮る 吾もその一人 空と地上の境目は まるで この世とあの世の 架け橋

残酷

全てがわかっているとしたら 全てが予定通りだとしたら 全てが通り過ぎるだけのことだとしたら 全てが誰にも知られないままに 終わってしまうだけのことだとしたら それは何と残酷 多くの悩みも いずれは終わる それは救いとともに 何と残酷

十二時

深夜 いきなり 掛け時計の針が くるくる回る そう 電波時計の時間合わせ だが針は 意志を持ったように 十二時でピタリと止まり その先に進まないのだった

馴染みの場所へ

どうしても 生きている内に 行けそうにない 行けないことは 無いはずだが そのためには 寿命を縮めるほどの 大変さを感じる 時間も 空間も 気にせず 行けたら 素敵なことだが 不吉にも 時空を超えるとは 生死を超える気がしてしまうんだ 自分がどうであれ そ…

退屈

多くの退屈を 食いつぶすうちに それは惰性だと 冷める 時間をやり過ごすだけなら 惰性でもいいが 後悔の念が湧いたとき それは 酷く無残だ

生きる

満たされない感情 どうしようもない衝動 計算できないものは 計算できない故に 足手まといに感じ 無いものとして 切り捨てた 中途半端な感情も衝動も 無かったものとせず 中途半端なままで 留め置いて 取り出して 転がして 戯れる そんなことが できていたな…

距離

発した言葉は耳に届く 視線は目を射る 身振りは波動として身体に届く 手を伸ばせば触れるほどの 近さを前にしても 全てを伝えることができないならば 何もしないと同じことだと 手も足も出せず 佇み続けている 近づけば 近づくほど 距離はますます 遠くなる …

正義

あなたの正義は私にとっては独りよがり 私の正義はあなたにとっては思い込み どうしても重ならないどこまでもいつまでも

西日

西の空に傾く日は 人生を象徴するかのように 名残惜しそうに風景を照らす

果実

何十年に一度の低温 昨年に沢山の果実を得た 細い果樹は枯れ果て 無残な姿を晒す また若芽は出るだろうか この一年再生を果たし また来年果実を実らせて欲しい 輝かしい果実を

十年一日

変化を望みながらも 性懲りもなく 続く惰性 徐々に 坂道を下り 形を変える ある日突然の 飛躍を望みながらも 十年一日 長い年月が流れ 手をすり抜けて 留まることなし